あんな。めっちゃ、だいすきです。



やからな。


…ちょっとだけ、びっくりしてん。






「ありがとうな、みとも!今日めっちゃ楽しかったわ〜!!」



改札前。


にかーって笑ったおかあさんは、こんなに戦利品もあるしな!って、両手の紙袋やナイロン袋をかかげた。



その中のひとつだけ、1番ちっちゃい紙袋。



それ、おとうさんへのおみやげやろ?


こっそり選んでたん、知ってるよ。



…"ザ・ニート"って書かれたTシャツ。



「電車、ちょうどいい時間ある?」

「あるある!こっち都会やからかなぁ、電車来る間隔もせまいわ」



たくさんの人が、忙しそうに改札をくぐっていく。


忙しく入れられたキップが、急いで出て、また忙しく取られていく。



「いっちゃんにも会えたから、来てよかったわ」

「…うん」

「あんなかっこよーて気ぃきく男、なかなかおらんでな。逃がしたアカンで?みとも」

「…うん」

「男心をつかむには胃袋!たまにはおいしいもんつくったりよ!!」

「…う、うん」

「あ!きんぴらごぼう!!おかあさんの自信作やから、いっちゃんと一緒に食べてや!」



…うん。



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