あんな。めっちゃ、だいすきです。
家具とか、雑貨とか、掃除用具とか。
全部とりのぞいた部屋はすっからかんで、あ、自分の家ってこんな広かったんやって。
…そう思った。
すみずみまですっかりキレイんなった部屋。
今まである程度掃除はしてたはずやのに、家具のけてみたらホコリがめっちゃ出てってビックリしたけどな。
もうなんもない、けど、すこしだけ。
…いっちゃんとふたりで過ごした空気が、少しだけまだ、残ってる気がした。
「そろそろ出よか、みとも」
「……ん」
いっちゃんの言葉にうなずいて、玄関へ向かう。
肩にしょってるカバンはひとつだけ。
他の必要物品とかは、もう引っ越す前に実家に送ってるから。
もう一度だけ、振り返る。
もう二度と戻ってこぉへん場所。
ウチがいなくなって、いっちゃんもおらんくなって。
そんできっと、1か月もせんうちにほかの人が住む。
そしたら、ウチらが過ごしてきたのとは全くべつものの、新しい空気になってくねんな。