あんな。めっちゃ、だいすきです。



「…いっちゃん」

「ん?」

「ここって…」



いっちゃんがにっこり笑うから、あ、やっぱ当たりやってわかった。



ここ。



…1年と6か月記念日のときに、いっちゃんが連れてきてくれた山の途中にあるグラウンドや。




バイクを降りて、ヘルメットをはずして。


差し出されたいっちゃんの手を握って、長く続く階段を上がる。



何段くらいあるんやろう。

もう登り始めてもうたから、わからへんけど。



「覚えとる?」

「…うん」

「おれもここ来たん、めっちゃ久しぶりや」

「…うんっ、おぼえ、とる、よ…っ、」

「……こんなんで息切れしとったらアカンでみとも。」



上からいっちゃんの笑い声。



…なんかこのやりとり、前のときもした気がするなぁ。


うん、でも、せやな。


まだ若いもんな。地元戻ったら、スポーツクラブでも入って体力つけなアカンな。



最後の1段。


グって、いっちゃんが腕を引っ張り上げてくれて、到着。



やっと息をつく。



ふりかえって見えた景色は、めっちゃおっきくて。



目に入りきらんくらい…ずっと広くて。




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