あんな。めっちゃ、だいすきです。
新幹線は、思ったよりずうっとすいとった。
おっきいスーツケースをガラガラ引く人やら、スーツ姿の会社員やら。
…これくらいやったら、わざわざ指定席とる必要なかったかもしれんな。
切符に書かれた番号を見ながら、自分らの座席を探す。
すぐに見つけて。
おとうさんすぐ酔うから窓際をゆずって、並んで座った。
「…おとうさん、荷物多いなぁ」
引っ越す当人の自分のより多い、おとうさんの荷物。
まぁ、ウチの荷物は大方すでに送ってるからやけど…それにしても多い。
座席の足元が、紙袋でわさわさしとる。
「あ、うん。このままお母さんの病院に向かおう思とるから」
ウチの足の方まで侵入しとった紙袋たちをはしに寄せるおとうさん。
シャツからのぞいた腕は、黒くて。
さっきも思ったけど焼けたなぁって。
「おとうさん…仕事、慣れた?体力いるし、大変なんちゃう?」
「まあ…今は外仕事やからな。けどこのまま頑張ってたらいずれ事務の方にも回してもらえるらしいから」
「そうなんや」
「人間関係も、ええ人ばっかりやしなぁ」