初恋
キーンコーンカーンコーン
先生「おい、お前らぁ、授業始めるぞ。席に着けー。」
先生は主席簿や教科書などを片手に、チャイムと同時に教室に入ってきた。
柚羅たちはしぶしぶ席へと戻った。
柚羅の席は、一番後ろの窓側から二番目。
一番後ろの窓側は、蓮だった。
柚羅は、この席順が嫌いでいつも、理沙に席を変わってくれとせがんでいた。
つまり、柚羅の前は理沙、左隣が蓮という席順だった。
柚羅(私の隣、アイツだからイヤなんだよね。何してくるかわかんないから。)
柚羅は、一生懸命数学の問題を解いている蓮のことをチラチラと見た。
すると、蓮がいきなり数学の問題を解くのをやめ、柚羅を見た。
柚羅(や、やばっ!見てることバレた?!)
柚羅は、とっさに蓮から目をそらし、授業を聞いているフリをした。
蓮「おい。」
柚羅「……。」
蓮「おい!」
柚羅「へ、へ?あたし??」
蓮「お前しかいねぇだろ。呼んでんだから、返事しろ。」
柚羅「だから、朝も言ったでしょ。おい。じゃわからないって。」
蓮「わかった、じゃぁ、柚羅。」
柚羅(ドキッ)
柚羅の心臓は、トクンと跳ねた。
その瞬間、柚羅の顔が一気に火照った。
柚羅(な、なんで今ドキッとしたのよ?!)
蓮「ん?どした、顔が赤いぞ?」
蓮が柚羅のほっぺに触ろうと手を伸ばし、柚羅の赤くなったほっぺを触った。
柚羅「て、手、冷たいね…。」
暖房の効いた部屋にいるのに、蓮の手はなぜか冷たかった。
蓮「あ、あぁ。」
柚羅「もしかして、冷え性??」
蓮「そうなのかもな。」
蓮は微笑した。
その微笑に柚羅の心臓は、またトクンと音を立てて跳ねた。
柚羅はキライなはずの蓮に触られているのに、不思議と落ち着き、なぜか心地よかった。