初恋
柚羅(なんでよりによって、こいつがいるのよ〜。)
柚羅はしかめっ面をしながら、蓮を起こさないようにそーっと本を物色し始めた。
柚羅(大丈夫…。大丈夫よ、起こさなければ…。)
柚羅は何事もないように本を物色し続けた。
柚羅「わぁ。この本おもしろそう…。」
柚羅「こっちの本もいいなぁ…。」
しかし、時間が経つにつれ、柚羅は独り言を言い始めた。
柚羅「迷うなぁ…。」
*「だったら、全部借りて行けよ…。」
柚羅「えっ?」
柚羅は、突然聞こえたくぐもった低い声にびっくりし、後ろを振り返った。
*「ふぁ〜…」
蓮が頭をぐしゃぐしゃとかき、背伸びをしながらあくびをしていた。
柚羅「い、いつから起きてたの…?」
蓮「ん〜、あんたが独り言言ってた時から。」
柚羅(あんたって…)
柚羅は「あんた」という言葉がかんに障ったのか、少し蓮を睨んでしまった。