初恋


−次の日−


柚羅は眠たそうに目をこすりながら、学校へと向かっていた。


柚羅(あ〜…。昨日アイツに言われた言葉が頭から離れなくて、なかなか寝れなかったなぁ…。)


柚羅「ふぁ〜…。」


*「吸い込まれそうな大口だな。」


柚羅「?!」


柚羅は突然の声にびっくりし、あくびをしていた大口を両手で覆い、声のした方向を見た。


柚羅(松崎、蓮…。)


柚羅「な、なんでアンタがここにいるのよ。」


蓮「俺がお前と一緒に学校に行っちゃダメなのか?」


蓮は柚羅に急接近し、柚羅の顔を覗き込んだ。


柚羅「ダ、ダメじゃないけど…。」


蓮「だったら行くぞ。」


グイッ


柚羅「!!」


蓮はそう言うと、強引に柚羅の手を取り学校へと向かった。




柚羅「ち、ちょっと」


蓮「あ?」


柚羅「て、手!!」


蓮「なにか問題でも?」


柚羅「な、なんで握ってるのよ。」


柚羅は自然と顔が赤くなってしまい、蓮の顔を直視することが出来なかった。


蓮「お前、こけそうだから。」


柚羅「へ?」


蓮「オッチョコチョイだから、こけそうだっつてんだよ。」


柚羅「こ、こけないわよ!」


蓮「お前、わかんねぇよ。一緒に歩いててこけてもらったら、俺が恥じかくじゃねぇか。」


柚羅「アンタなんか、恥じかえちゃえ!」


柚羅は、蓮を小ばかにしたように茶化した。

蓮「な、なんだと?!」


柚羅「あっかんべー!」


柚羅は走って、学校へ向かった。


蓮「お、おい、待てよ!」


柚羅「ここまでおいで〜!」


柚羅はなぜか蓮に対して不思議な感情を抱いていた。



このときの私はまだ、この感情を「恋」だとは気づいいていなかった。


< 7 / 24 >

この作品をシェア

pagetop