初恋
−次の日−
柚羅は眠たそうに目をこすりながら、学校へと向かっていた。
柚羅(あ〜…。昨日アイツに言われた言葉が頭から離れなくて、なかなか寝れなかったなぁ…。)
柚羅「ふぁ〜…。」
*「吸い込まれそうな大口だな。」
柚羅「?!」
柚羅は突然の声にびっくりし、あくびをしていた大口を両手で覆い、声のした方向を見た。
柚羅(松崎、蓮…。)
柚羅「な、なんでアンタがここにいるのよ。」
蓮「俺がお前と一緒に学校に行っちゃダメなのか?」
蓮は柚羅に急接近し、柚羅の顔を覗き込んだ。
柚羅「ダ、ダメじゃないけど…。」
蓮「だったら行くぞ。」
グイッ
柚羅「!!」
蓮はそう言うと、強引に柚羅の手を取り学校へと向かった。
柚羅「ち、ちょっと」
蓮「あ?」
柚羅「て、手!!」
蓮「なにか問題でも?」
柚羅「な、なんで握ってるのよ。」
柚羅は自然と顔が赤くなってしまい、蓮の顔を直視することが出来なかった。
蓮「お前、こけそうだから。」
柚羅「へ?」
蓮「オッチョコチョイだから、こけそうだっつてんだよ。」
柚羅「こ、こけないわよ!」
蓮「お前、わかんねぇよ。一緒に歩いててこけてもらったら、俺が恥じかくじゃねぇか。」
柚羅「アンタなんか、恥じかえちゃえ!」
柚羅は、蓮を小ばかにしたように茶化した。
蓮「な、なんだと?!」
柚羅「あっかんべー!」
柚羅は走って、学校へ向かった。
蓮「お、おい、待てよ!」
柚羅「ここまでおいで〜!」
柚羅はなぜか蓮に対して不思議な感情を抱いていた。
このときの私はまだ、この感情を「恋」だとは気づいいていなかった。