月光歌
車に揺られること20分。
目の前にあったのは…
凄く立派な料亭だった…。
「こんな所で食事するなら茅も連れて来てあげなきゃ可哀想じゃない…。」
少し寂しい気持ちになった私に母は…
「あら~ダメよ~。今日は梓と婚約者の顔合わせなんだから。」
またまた可愛らしく言う母。
だから可愛いと思われる年じゃ…
っっって!!!!
「っ婚約者って言った!?誰のよ!」
「言ったわよ?あら…梓に決まってるじゃない。」
またまた、にっこり微笑んでる母…
じゃなくて!!
「聞いてない!」
「言ってないもの。」
即答されてしまった…。
「まぁまぁとりあえず入ろうか?」
なだめるように言う父が今は憎い。
キッと睨み
「絶対結婚しないから!」
「昔はあんなに結婚したがってたのに…」
小さく呟く母の声なんか聞こえなかった。