シュガーズ
「横江さん いいの?」
教室に戻ってからもあたしのそばにいる
゙りっちゃん"とかがあたしのこと嫌ってるのはわかってる
戻れなくなるよ?
「いいの」
横江さんはにっこり笑った
「珍しい組み合わせだね」
体育から帰ってきた藤森 晴緋が席につく
「友達になったの」
横江さんが笑顔で答える
「よかったね 衣都」
「………うん」
あたしも自然と微笑んでいた
いつぶりだろう
あたしの周りにこんなに人がいるの
「゙知永さん"って堅苦しくて嫌だなァ」
横江さんが言う
「衣都ちゃん」
「………はい」
名前を呼ばれて反射的に返事をする
「芽依ちゃん……」
「はい」
2人で顔を見合わせて笑う
「なんか改まってやると恥ずかしいね」
「……うん」
なんだかすごくくすぐったい気分
「なんかずりーな」
「え?」
「俺のこと呼んでくんないじゃん」
「………。」
タイミングがなくてずっと呼べないでいる
第一
゙ハル"なんて呼べない
「衣都」
カレが笑う
「………ハル君」
あたしの小さな勇気