シュガーズ

「秦野君」


案の定 いた

屋上

秦野君は制服姿で横になってる



「………知永か」


まじまじとあたしを見てから言った



「誰かと思った」

「え?」

「スカート短ぇな」



言われて自分の格好を再確認



「わりと似合うね」

「………。」



思わず沈黙



「秦野君 仕事」

「は?」

「文化祭実行委員」

「あぁ……忘れてた」



秦野君が身体を起こす



「着替えないの?」

「面倒くさいし」

「……似合うと思うよ」


「思ってねぇくせに」




秦野君は楽しそうに笑った

最初は大嫌いだったけど話してるうちにだんだん慣れた


目は今も少し苦手だけど……


たまに見せる優しさは好き



「もうちょいしたらでよくね?」

「………。」


あたしが立ち上がろうとすると秦野君が言った



「せっかくいい天気だし」

「……うん」



あたしはスカートのヒダが崩れないよう押さえて座り直す

秦野君は大きく伸びをした



「知永って意外としゃべるよな」

「え?」

「今まで我慢してたろ」

「………。」



我慢してないけど

元から無口なわけではない

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