シュガーズ


ただ人間関係が面倒だから余計なこと話さないように黙ってただけ

゙友達"なんていらないって思ってたから

業務連絡以外で話す必要性を感じてなかったから……



「素直だよね 知永」

「何が?」

「自分に素直」



あたしに左手が伸びる


秦野君の指がコテで巻かれたあたしの髪に触れる



「そういうやつ好きだよ 俺は」



なんだか苦しい



「………。」

「仕事すっか」



胸が苦しい


固まるあたしのよそに大きなあくびをして面倒くさそうに立ち上がる


秦野君は

たまに何が言いたいのかわからないときがある


そこがはっきりものを言うハル君とは違うところ



「知永」

「………はい」


秦野君が着ていたグレーのカーディガンを脱いであたしに投げる



「………。」



えーっと

なんだろう




「腰に巻いとけよ」

「……なんで?」

「スカート短すぎ」



秦野君なりの優しさ

……なのかな


あたしは言われた通りにカーディガンを腰に結んだ

ヒダが広がらないぶん捲れたりする心配がなさそう


スタスタと前を歩いていく秦野君の背中を

小走りで追いかける




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