シュガーズ
「やっべぇ」
「超可愛い」
飲み物をテーブルに置く
とびきりの笑顔を作る
後輩たちの声が耳に届く
゙可愛い"
大嫌いな言葉
だけど今のあたしには自信をくれた
大丈夫
あたしは可愛い
自分に何度も言い聞かせる
「澪梨ちゃん」
「ん?」
あっくんが来る
あたしは可愛らしく小首を傾げた
「呼び込み 一緒に行こ」
見ると手には大量のチラシ
「いいよっ」
快く頷く
晴緋君は今 担当の時間じゃないから教室にいない
呼び込みしてたら会えるかもしれないし
あっくんの手からチラシを半分もらって教室を抜けた
「あっ 澪梨ちゃん」
「ギャルメイクでも超可愛い」
「やっぱ元が違うよな」
「ありがとお」
廊下を歩いていると男の子たちが話しかけてくれる
みんな親しげに話してくるけど
誰が誰だか覚えてない
とりあえず愛想を振りまく
「………。」
反対側から歩いてくる
秦野君と知永さんの姿を見つける
たしか文化祭実行委員だっけ?
なんだ 案外普通じゃん
秦野君と2人で歩く知永 衣都を見ながら思う