シュガーズ
「はぁーたの君」
「………出た」
「出たって何よ」
人を幽霊みたいに言うな
あたしは現代文の授業の途中
体調不良を理由に授業を抜け出した
「なんか用?」
「冷たいなァ……」
明らかにけんか腰の秦野君を見て肩をすくめる
「話したいことあるの」
「俺はない」
「………。」
あたしはあるの
どうしよう
まじで蹴飛ばしたい
「聞いてくれたっていいじゃん」
「ウソ泣きすんな」
「………。」
バレてるし
イラつくな……
「あたしのこと そんなに嫌い?」
コイツの前だとキャラ作るだけ無駄だって判断
立ったまま秦野君に話しかける
「大嫌い」
「ストレートだね」
あたしも大嫌い
ほんと気が合うね
「なんで?」
猫被ってるから?
「あんたがハルのこと好きだから」
「……じゃあさ」
あたしは言葉を続ける
「晴緋君のこと好きじゃなかったら?」
「………。」
秦野君は黙る
あたしも黙る
沈黙
やがて秦野君が口を開いた
「好き」
「……え?」
「あんたのこと」