シュガーズ


「ハルか……」



誰もいない屋上で呟く



『あんただってコンプレックスくらいあるでしょ?』



いつか橘サンに言われた言葉を思い出す



目を閉じる

大きく大きく息を吐く







ハルと俺は小学校のころからの付き合いで

昔からずっと仲がよかった


人あたりがよくて 誰に対しても優しいハル

男の俺からみてもカッコ良くて

人気者と一緒につるんでることが誇りだったし

尊敬してた



だけど


変わった



自分の中にある汚い感情を意識し始めたのは高校生になってからだ





きっかけは

゙ハル目当て"で俺に近づいてくるやつらが増えたこと



思い知らされる



ハルの隣にいる俺はいつも脇役だった


勉強でも

クラスでも 部活でもそうだ



ハルは俺の欲しいものは全部持っていて

手に入れられないものなんかない


正直

うらやましかった

妬んでた


俺は劣等感のカタマリだった


ハルのことが好きなやつらが嫌いになって

ハルの笑顔が嫌いになって

優しさが嫌いになって

いつしかハルのことが嫌いになった


でも俺は

そんなことを考えてる自分が1番嫌いだった



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