シュガーズ
名前は知らないけど聞いたことある曲
柔らかい音色
芽依ちゃんの雰囲気にぴったりだと思った
「すごいね」
「恥ずかしいなぁ」
吹き終わった芽依ちゃんが顔を赤らめる
「中学の時はサックスだったの」
「……サックス」
それは聞いたことある
メジャーな金管楽器
「あたしはこっちでいいの」
「………。」
゙こっちで"いい?
こっちがいいじゃなくて?
芽依ちゃんの言葉の真意が掴めなかった
「あ……もう4時」
芽依ちゃんが立ち上がる
「合奏あるんだぁ」
「……そっか」
急いで楽譜をまとめる
「ごめんね 衣都ちゃん」
「うん またね」
「また明日」
そう言うとバタバタと教室を出て行った
窓の外を見る
雨は小降りになっていた
「……帰るか」
中学時代を思い出す
あたしは陸上部のマネージャーだった
運動音痴なあたし
最初は吹奏楽部とか 美術部とか考えた
だけど憧れの先輩がいたから陸上部に決めた
お母さんが入院し始めてからやめちゃったんだけどね
久しぶりに
先輩に会いたいな