シュガーズ
「………あ」
昇降口
「秦野君……」
ばったり出くわす
「まだ学校いたんだね」
あたしが言う
橘さんが変なこと言うから意識しちゃう
真っ直ぐ目が見れない
「待ってた」
「………誰を?」
「おまえ」
「………。」
あたし?
その場で固まる
「冗談だよ」
「え?」
「雨宿りしてた」
「……あぁ」
正直 ほっとした
秦野君は冗談なのか本気なのかよくわかんない
いつも真顔なんだもん
「知永は?」
「あたしも雨宿り」
「ふーん」
「もう帰れるけど」
こんなに小降りだし
秦野君はよっぽど濡れるのが嫌いなのかな?
「じゃあまたね」
「俺も帰る」
「………。」
「一緒に帰ろ」
「うん」
なんかドキドキする
雨の中 並んで歩く
「風邪 引くなよ」
「……ありがと」
秦野君はあたしの頭にタオルを被せてくれた
芽依ちゃんたちと同じ中学校ってことは
家も地元なんだよね?
「ねぇ」
「……はい」
「彼氏いたことあんの?」
「………。」
唐突な質問
一瞬だけたじろいでしまう