シュガーズ

「………はぁ」



逃げちゃった



電気もつけないでソファーに倒れ込む

顔は水で濡れてる

でも泣いてるわけじゃない


雨だよ



「あーぁ……」


ため息しかでない

逃げたりしなければよかった



だって晴緋君

困った顔するんだもん


あたしは笑って欲しかったのに

笑って『俺もだよ』って言ってほしかっただけなのに……


わかってたけど

あたしのこと好きじゃないことくらい

少しも眼中にないことくらい……


でも

1%でも希望があるなら信じてた

プライドだけがあたしを支えてた



好きな子って誰?

知永さん?


あたしが告白することに意味はあったのかな

ちゃんと意識してくれたのかな……



あたしの存在に気づいてよ



次あったらどんな顔しよう

『ごめん』

なんて謝られて

面と向かって振られても気丈でいられるほど

あたしは強くない


弱いから強い振りをしてるだけ

知永さんにも芽依ちゃんにもなれないの



愛してほしい

好きな人に好きでいてほしいだけなのに……




やっぱり


あたしの必要価値は見た目だけなの?

だから誰も愛してくれないのかな


< 150 / 287 >

この作品をシェア

pagetop