シュガーズ
「はよ」
あっ
秦野君だ
「………おはよ」
なんとか振り絞った声
思わず目をそらしてしまった
「衣都 稚空 おはよ」
「はよ ハル」
「………おはよ」
こんなときに
3人揃っちゃうという最悪パターン
「昨日すっげぇ雨だったよな」
「そうだな」
ケラケラと話すハル君
適当に相槌をうつ秦野君
黙っちゃうあたし
……芽依ちゃん
早く来ないかな
「あっ 橘さん」
「………。」
「おはよー」
ハル君が橘さんにニコリと笑いかける
「おはよ」
橘さんが一瞬だけぎこちない笑顔を浮かべる
あ……まずい
あたしが邪魔なんだ
橘さんに協力しなきゃいけないんだった
席外さなきゃ
黙って席を立つ
「衣都?」
「……トイレ」
橘さんとハル君が話すのにあたしがいちゃダメだよね
「俺もトイレ」
空気を読んだのか 気まぐれなのか
秦野君も立ち上がった
「行ってらー」
のんきに手を振るハル君を背中に教室を出た
「………。」
並んで歩く
気まずい
「気まずいね」
「………。」