シュガーズ
「やめなよ」
「………。」
表情1つ変えずに口を挟んだのは晴緋君
あたしはその様子を黙って眺める
「そういうのは本人たちの自由じゃん」
「………。」
「部外者が土足で踏み込んでいいことじゃないだろ?」
違う
あたしが思ってた晴緋君の反応とは明らかに違う
「………ごめんね」
周りが衣都ちゃんから離れていく
空気が冷めるのが手に取るようにわかる
「ありがと……」
小さな声でお礼を言う衣都ちゃんを横目に思う
秦野君は言った
ちゃんと晴緋君に付き合ってることを報告していた
晴緋は知ってた
2人が付き合ってることはちゃんと認識していた
なのになんで?
なんで知永 衣都に普通の態度で接していられるの?
「………ありえない」
2人の姿を見ながらぼやく
晴緋君はみんなのヒーロー
裏表がなくて真っ直ぐな性格
自分の気持ちに素直で正直な男の子
ずっとそう思ってた
あたしは勘違いをしてたのかもしれない
こんなこと
自分が1番わかってたはずなのにな……
世の中に自分を偽らずに生きてる人なんているわけないんだ