シュガーズ

「やめなよ」

「………。」



言葉に詰まるあたしを遮るようにハル君が言う

周りが一気に静かになる



「そういうのは本人たちの自由じゃん」

「………。」

「部外者が土足で踏み込んでいいことじゃないだろ?」



こんなハル君見たことない

こんな顔もするんだ……


あたしのために怒ってくれてる?

それとも秦野君のためかな……

ただ単にこういう雰囲気が嫌いなだけなのかもしれない



「………ごめんね」



あたしを質問攻めにしていた女の子が謝る

続けてみんなも頭を下げた



「ありがと……」



お礼を言うことしかできなかった

ハル君に対してあたしは他に何が言える?




「大丈夫?」

「……うん」

「よかった」


笑顔

なんだかすごく苦しい


ハル君にとってあたしはどんな存在なのかな?



それ以上に

あたしにとってハル君はどんな存在なんだろう……



「おはよ」

「あ……おはよ」

「なんの騒ぎ?」



このタイミングで秦野君登場

大きなあくびをしながら教室に入ってきた


女の子たちがあたしたちを見ながらコソコソ話すのがわかる


いつから人の視線に敏感になったんだろ……


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