シュガーズ
「あーぁ……」
秦野君を追いかけて教室を出た知永 衣都
彼女の背中を黙って見送った晴緋君
可哀想な人
そんな顔するなら追いかけたら?
引きとめたいならそうすればいいじゃん
今までだってさんざん
衣都ちゃんのこと構ってあげてたでしょ?
ひいきしてあげてたじゃない……
「晴緋君」
あたしは彼に歩み寄る
「ちょっと2人きりで話せないかな?」
「あぁ……うん」
晴緋君が追いかけなかったんだよ
だったらもう諦めて
忘れたら?
「あたし……知らなかったな」
2人で並んでベンチに座る
「衣都ちゃんって秦野君が好きだったんだね」
「………。」
晴緋君は何も言わない
「お似合いだもんね あの2人」
「………。」
晴緋君はただ黙って空を仰ぎ見ていた
あたしといるのに
知永 衣都のこと考えてるのかな?
気づいたときには晴緋君に抱きついていた
「あたしを見てよ」
「……橘さん」
「傷ついてる晴緋君 見たくないよ」
「でも俺は……」
「わかってる」
あたしを見てないことくらい知ってるよ
「でも好きなの」