シュガーズ


屋上は蒸し暑い

小走りで追いかけてきたせいで少し汗ばむ

日差しがガンガンと照りつけている


もう夏だなぁ………




「寝るなら室内がいいよ」


わずかな日陰で横になる秦野君に声をかける



「……熱射病になっちゃうし」

「おいで」


手招きをする秦野君に小さくため息をつく

言うこと聞くわけなんてないか……

黙って隣に腰をおろす



「ねぇ 知ってる?」


少し間をあけて秦野君が話始める


「恋愛なんて勘違いの塊」

「………え」


いきなり何?



「心拍数が上がった状態で異性を見るだけで゙恋"って思う」

「………。」



心拍数……

何かの比喩かな?



「例えばスポーツしてるとき 遊園地 ホラー映画」

「……うん」



女の子がスポーツマンを好むのは

心拍数が上がってるからってこと?



「悩んでるとき 不安で一杯なとき」

「………。」

「傍にいてもらうだけで゙好意"だと思う」

「……あぁ」



比喩はあたしだった

あたしがハル君に対して抱いてる想い



「今なんて絶好の環境じゃん?」


初夏の屋上

あたしは彼を走って追いかけてきた

それに2人きり



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