シュガーズ


心拍数は高い

恋愛を意識するにはもってこいなシチュエーション



「もっとドキドキさせてあげようか」

「………え」



秦野君が身体を起こす

目が合う


「………。」


この沈黙 イヤだな

なんか緊張する



「衣都」


初めて下の名前で呼ばれる


「好きだよ」



あたしの髪に秦野君の手が触れる

呼吸の仕方がよくわからなくなる


「………。」


それから2回目のキス






「ドキドキした?」


いたずらに笑う秦野君


「………うん」


悔しいけどものすごくドキドキした



「勘違いでもいい」

「え?」

「知永に俺のこと好きになってほしい」



肩をぐっと引き寄せられる

秦野君の匂いがする

男の子の匂い



「ハルのところになんかいかないで」


魔法のように

呪縛のようにあたしにまとわりつく言葉


秦野君を見ると悲しい目をしてる

どうして?



「俺のことだけ見て」

「………うん」



このドキドキが゙好き"なのかな

勘違いでもいい

なんだっていいや

もう少し 彼の傍にいたいと思ったの



夏は暑いから人の心が狂う

おかしくなりそうだ


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