シュガーズ


「………え?」


そういえば橘さんの姿がない

もしかして来てないのかな?

聞き返すと佐倉さんが舌打ちをした


「あんたはおとなしくストーカー秦野といちゃついてればいいの」


ストーカー?

秦野君に限ってそんなことするわけない


「目障りなんだよ」


佐倉さんがあたしに向かって空き缶を投げた


「優しくされたからって思い上がんな」

「………。」


それだけ言って2人はあたしの横を通り過ぎて行った

佐倉 理央の言葉はあたしの胸に深く深く刺さった


あたし……思い上がってたのかな?

1人ぼっちだったあたしがクラスに馴染めたのはハル君のおかげ

芽依ちゃんのおかげ

それから こんなあたしにでも普通に話しかけてくれた橘さんのおかげ

誰かに守られて支えられて

去年までのあたしとは180度違う生活を送っている

自分の力じゃどうしようもなかった


゙澪梨が上手くいかなかったら"って言ってた


あたしの知らないところでハル君と何かあったのかな?

協力するって……言ったのに



大きくため息をついて自動販売機に小銭を入れる


取り出し口にガランと落ちたのはあたしの心

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