シュガーズ
「お邪魔します」
「……どうぞ」
家族も友達もよっこちゃんでさえ家には入れたことがない
1人暮らしをして初めて家に入れたのがコイツか……
彼氏じゃないのに
知らない人に住所を教えることに少し抵抗があった
「はい 手土産」
祐夢先輩があたしに駅前のケーキ屋の箱を差し出す
こういう気づかいは好きだ
ただ祐夢先輩は一昔前に流行ったいわゆるプージャーをきてる
ラフすぎ……
「それにしても゙澪梨"っぽくない部屋だね」
「そうかな?」
とぼけてみたけど いいたいことはわかる
部屋はモノトーンで統一されていて
無駄な物は一切置いてない
さっぱりとした空間
家でまで偽りのキャラ演じたくないんだもん……
あたしはピンクが嫌いだ
レースだってパステルカラーだって好きじゃない
全部は周りの目線を気にしてのことで あたしの好みや意志なんてどこにもない
「1人暮らしっていいね」
祐夢先輩が微笑む
「なんだってできるもんね」
場の雰囲気が変わるのがわかる
あたしは空気の読める子だから……