シュガーズ
「楽しかったね 眞子 また来たいなぁ」
試合が終わった
大会じゃないから勝ち負けにはあんまりこだわりがないんだろう
うちの学校は勝ったけどみんな喜びわけじゃない
相手の学校は負けたけど悔し泣きするわけじゃない
所詮は練習試合
「なんかいいよね 青春って感じで」
芽依ちゃんがあたしに向かってはにかむ
「さすが晴緋君 稚空君だよ あの2人は永遠にバッテリーだね」
「………うん」
あたしも思った
ハル君には秦野君しかいなくて秦野君にだってハル君が必要だ
あの2人はこれからも一緒にいなきゃいけない
あたしなんかに彼らの絆は壊せないし
あたしなんかの入る隙間なんてない
部活やめるなんて言わないでほしい
秦野君には野球を続けてほしい
だって………野球をしてる彼は本当にキラキラしてて 眩しくて かっこよかったんだもん
「あ……衣都ちゃん」
芽依ちゃんがあたしに呼びかける
彼女が視線を送るのは着替えを終えた野球部の人たち
そこに秦野君の姿
「行ってきなよ」
「うん」
「やめてほしくないんだよね?思ってること 伝えておいで」
「…………え?」