シュガーズ


『今日の夜ひま?』


彼から電話がかかってきたのはそれからさらに1週間後のこと

連絡を取り合ってなかったことなんて少しも気にしてないように

何の前触れもない秦野君の言葉にあたしは安心した


「………ひまだよ」


浮かれる自分を隠すように必死で落ち着いた声を出す


『花火大会 行こうよ』

「うんっ」


待ち合わせ時間を決め手電話を切る


「………。」


心臓がバクバク言ってるのがよくわかる

今あたし 顔真っ赤なんだろうなぁ……

直接話してなくてよかった


「……やっぱり浴衣とか着るべき?」

「眞子も浴衣着たぁい!!」

「ぅわっ びっくりした」


いつの間にかあたしのそばにいる眞子

独り言を聞かれた



「着よっか」

「うんっ♪」


早苗さんが眞子と一緒に行ってくれるらしい

芽依ちゃんは彼氏と行く


『稚空君から連絡なかったら一緒に行こ』

……って芽依ちゃんは行ってくれてた

連絡がくることは見通してたみたい


「………。」


どうしよう

すごく久しぶりに会う

こんなに緊張するのだって久しぶり


「浴衣 着よう」


自分に言い聞かせて準備を始めた

< 214 / 287 >

この作品をシェア

pagetop