シュガーズ
『今日の夜ひま?』
彼から電話がかかってきたのはそれからさらに1週間後のこと
連絡を取り合ってなかったことなんて少しも気にしてないように
何の前触れもない秦野君の言葉にあたしは安心した
「………ひまだよ」
浮かれる自分を隠すように必死で落ち着いた声を出す
『花火大会 行こうよ』
「うんっ」
待ち合わせ時間を決め手電話を切る
「………。」
心臓がバクバク言ってるのがよくわかる
今あたし 顔真っ赤なんだろうなぁ……
直接話してなくてよかった
「……やっぱり浴衣とか着るべき?」
「眞子も浴衣着たぁい!!」
「ぅわっ びっくりした」
いつの間にかあたしのそばにいる眞子
独り言を聞かれた
「着よっか」
「うんっ♪」
早苗さんが眞子と一緒に行ってくれるらしい
芽依ちゃんは彼氏と行く
『稚空君から連絡なかったら一緒に行こ』
……って芽依ちゃんは行ってくれてた
連絡がくることは見通してたみたい
「………。」
どうしよう
すごく久しぶりに会う
こんなに緊張するのだって久しぶり
「浴衣 着よう」
自分に言い聞かせて準備を始めた