シュガーズ
「待って」
腕を掴まれる
「落ち着いて 知永さん」
落ち着いてるよ
てか
今はあんたに構ってる暇ないのに……
「ここで待ってて」
「は?」
急いでるんだけど
見ればわかるでしょ?
校門とは反対方向に走っていくカレの背中を見送る
「どうぞ」
「………。」
帰ってきた藤森 晴緋は自転車を引いてきた
「急いでるんだよね?よかったら使って 返すの月曜日でいいから」
「………。」
「知永さん?」
あたし
信じてもらえないかもしれないけど
自転車乗れないんだってば
どうしよう……
何も言わずに固まるあたし
困ったな
こういうのの断り方わかんない
「あ そっか」
躊躇しているあたしを見て藤森 晴緋が言う
「イス高いし乗りにくいよね ごめん 気づかなくて」
あたしとカレ
身長差約20cm
……気にするポイントそこじゃないんだけど
「じゃあ 仕方ない」
そう言うと
ようやく諦めたのか自転車に跨る
「乗って」
「………。」
「いいから 乗って」
「は?」
意味わかんない
「急いでるんだよね?」
そうだけど……