シュガーズ

voice


「………もしもし」

『もしもし』

「早苗さん 衣都です……」

『どうした?』

「あ………あたし………」


身体中が痛い

震えがとまらない


『今 どこにいるの?』


電話の向こうに聞こえる早苗さんの声

居場所を伝えたところであたしの意識は途絶えた



夢を見た


゙衣都"


あぁ……この声

お父さんだ


゙お前は強い子だからどんなことがあっても負けちゃダメだぞ"


小さい頃

言われ続けた言葉がフラッシュバックする


゙でもほんとにつらいことがあったら"


「………ちゃん」


゙そのときは思いっきり泣いたっていいんだ"


「い………とっ」


あぁ………

ごめんなさい お父さん

呼ばれてる

あたし もう行かなくちゃ


「衣都ちゃんっ!!」

「…………。」


重たい瞼をゆっくりと開く

目の前にうつるのは芽依ちゃんの顔



「ごめっ……ごめんねぇ」


芽依ちゃんは泣きながら横になっているあたしに抱きしめた


「あたしが……一緒に教室まで行ってたら……」


薬品のにおい

真っ白な天井

どうやらここは病院みたい

そうだ……あたし 電話のあと意識がなくなったんだ


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