シュガーズ


中学のころのあたしは強くならなくちゃいけなかった

泣いてる場合じゃなかった

眞子のことも お母さんのことを守らなくちゃいけなかったから

だけど

あたしはそんなに強くない

こんなの無理やり作った強さ

最初から無理だった

人並みに弱くて脆い


「…………。」


ベッドから出てカーテンを開ける

光が降り注ぐ

窓を開ける

ここから飛び降りれば 全部終わるかな?

眞子には早苗さんがいる

芽依ちゃんには榊原君がいる

それに秦野君だって

あたしの存在なんてちっぽけ

いてもいなくても世界は何も変わらない


窓枠に手をかける

ここは3階

死ねる高さだよね?

痛いかな

どうだろ………

でも 今のあたしの心の痛みに比べれば痛くないだろうな

さよなら

ごめんなさい

お父さん

今 行くよ

芽依ちゃん 早苗さん 眞子 秦野君 ありがと

ハル君

ありがとう


ぎゅっと目を閉じる

涙がこぼれ落ちた



゙衣都"

あたしを呼ぶ声がしたような気がした

お父さん………待ってて



「衣都っ」


まただ

聞こえる



そのとき 携帯が鳴った

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