シュガーズ

「だったら乗って」

「………。」


だから

断り方わかんないんだってば



「どこまで行けばいい?」

「……菊里保育園」

「了解」



藤森 晴緋が自転車のペダルを踏む


こういう時

どうしていいかわかんなくて

ちょっと怖くて

背中に手を置いてみる



「しっかり掴まっててね」


なんで保育園?

とか言われるかと思った


言われても

無視してたんだろうけど…





「ごめんなさいっ」


保育園に着くなり先生に頭を下げる


「知永さん 連絡なしで遅れたことなかったからすごく心配したんですよ」

「……。」

「無事で何よりです」


「あの……眞子は?」

「疲れて寝ちゃったみたい 今日は朝からテンション高かったから」

「……そうですか」


起こすのが可哀想だったから眞子をおぶる


「本当に今日はすいませんでした」

「いえいえ また明日」



保育士って大変だな

嫌な顔

できないもんな


「ん……衣都姉ちゃん」


背中でもぞもぞと動く眞子


「遅くなってごめんね」


返事がない

寝言………か



「知永さん」

「あ……」


まだいたんだ コイツ

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