シュガーズ


「来いよ」

「え………ちょっ……」


明らかにキレてる秦野 稚空があたしの腕を掴む


「何?……離してよ」

「………。」

「みんな見てるし………痛いってば」


あたしの言うことを全部シカトしてズカズカと人気のない場所に歩いていく


「…………きゃっ」


背中が思いきり壁にぶつかる

挟み込むように秦野君があたしの前に立ち 左手であたしの右肩を押さえる


「な………何よ」

「知永のこと襲わせたのあんた?」

「…………。」


予想はしてた

やっぱり知永 衣都のこと


「言えよ」

「あたしだよ」

「………。」

「そう言ったら どうする?」


秦野君はあいている右手を大きく振り上げて 振り下ろした

あたしは 目をつぶらない

振り下ろされた手があたしの顔の真横の壁を揺らした


「あんた 殺すから」

「………はぁ」


思わず ため息がでる


「あたしじゃないよ」


秦野君の左手に入った力が弱まる


「そんなくだらないこと あたしがするわけないじゃん」

「………あっそ」




「秦野君らしくないね そんなに取り乱しちゃって」

「………。」

「原因は他にもあるのかな?」

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