シュガーズ


「…………。」

「図星 か」

下を向く彼


「晴緋君でしょ」

「…………。」

「超わかりやすいよね あんたって」


黙る秦野君を鼻で笑う


「衣都ちゃんのこと 奪われちゃったとか?」

「………違ぇよ」


なんだ 違うんだ

てっきりそんなことだろうなって思ったんだけど



「知永のことは絶対渡したりしない」

「まぁ あたしの知ったことじゃないけどね」

「だろうな あいつのこと傷つけたらまじで殺す」

「勝手にすればいいじゃん バカバカしい」



秦野君に背中を向ける

聞きたくないよ

ノロケ話なんて




「………あんたさ」

「何よ まだなんか?」


秦野 稚空ってこんなしゃべるやつだったっけ


「ハルのこと ほんとはまだ好きだろ」

「はぁ?」


立ち止まって

振り返る



「痛々しいんだよ あんた」

「………何が」

「自分自身のこと傷つけてまで忘れようとしてる」

「そんなことっ……」

「可哀想」


そんなことなんかない

そんなこと………


「愛し方がわかんねぇんだよ」

「………。」

「もっと言えば 愛され方がわかんねぇんだよ あんた」



うるさいな バカ


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