シュガーズ
息があがる
他の部員たちは俺らの遥か後ろを走っている
「ハルは俺を裏切らない」
口をついて出た言葉
こんなの
反則だってわかってる
「友達の彼女に手ぇ出したりしないだろ?」
「…………。」
俺はずるい
だけど
ハルには渡せない
黙るハルに続ける
「知永を守るのは俺だ」
負けたくない
アイツの彼氏はお前じゃない
知永の横にいるのはお前じゃない
友達だろ?
ハルと知永
お前と俺も
2つを同時に選ぶことなんかできない
取捨選択の世の中なんだ
友情を取るか
恋愛を取るか
選べよ ハル
今まで何もかもを手に入れてきたお前に選べるか?
どっちかを捨てることが偽善者でお人好しのお前にできるのかよ
「………稚空」
「何?」
「あ……いや なんでもない」
何かを言いかけてやめた
迷っている
いつもそう
理性を優先させる
俺のために………
そんなこと何も聞かなくたってわかる
昔からの付き合いだから
でも
これは俺なりの復讐
欲しい物が全部手に入るやつにはわかんない
負け組の気持ち
みんなの人気者にはわかんない
劣等感