シュガーズ
ひどいこと言ったのはあたし
差し出された手を振り払ったのはあたし
朝 下駄箱でばったり出くわした
藤森 晴緋は
挨拶をしてこなかった
積み上げていくのはとても大変
人を傷つけないのは
好かれるのは大変
だけど
壊すのなんてこんなに簡単
人を傷つけるのなんて
嫌いになってもらうのなんて
こんなに簡単
今日は4時から8時まで喫茶店のバイト
眞子の延長保育はちゃんと頼んでる
バイトが4時からの日
あたしは人の気配がなくなるまで顔を上げない
時間がないときはホームルームが終わるのと同時に教室をでるけど
そこはまぁ気分で
そろそろみんな帰ったかな
顔を上げる
ただいまの時刻
3時10分
ここから喫茶店まで歩いて30分かからないから
まだまだ余裕
そろそろ行こうかな
「知永さん」
「………え?」
うそ……
なんで?
「起きるの待ってた」
「……。」
なんでいるの?
「話しがしたいんだけど」
拒絶したのに
藤森 晴緋は
まっすぐあたしの目を見て
あたしの前に立っている