シュガーズ
「あっ ハル」
「ごめんね 遅くなって」
それからしばらくして
息をきらした晴緋君があたしたちの部屋に飛び込んできた
「電話したんだぞ~」
「わりぃ 携帯 家に忘れてきちゃってさ」
空いてる席に腰を下ろす
「どうして遅れたの?」
なんてあたしなら聞けない
こういうときに
あたしの疑問を変わりに口にしてくれるのは
やっぱり りっちゃんだった
「ちょっとね」
笑いながら短く答える晴緋君
……何よそれ
はぐらかされてる?
りっちゃんもみんなも
遅れた理由にあまり興味がないのか
それとも
ただ単にカラオケに夢中だからか
それ以上
カレのことを問い詰めなかった
……気になるのはあたしだけってことか
もし
あたしが晴緋君の立場だったら
わざわざ理由聞かれたらウザい
それに聞いたからって
何かできるわけじゃないし
だから聞かないほうがいい
「橘さん 歌上手だね」
「ありがと なんか照れるなァ」
ただ1つわかること
晴緋君のあたしへの態度が変わってないこと
秦野 稚空は余計なこと言ってないっていうこと