シュガーズ
この人の行動力になんだか少し怖くなった
あたしのこと
どこまで知ってる?
「考えといてね」
考えるまでもなく
「………うん」
家庭教師のバイトするんだろうな
「危ない危ない」
藤森 晴緋は独り言のように呟く
「これ伝えなかったら゙偽善者"になるとこだった……」
偽善者
クラス委員として団結を訴える゙偽善者"
『そんなこと簡単に言わないで』
自分で言った言葉を思い出す
『偽善者ぶる人 大嫌いだから』
「………あぁ」
言ったね あたし
「ほんとはね もっと早く話したかったんだけどさ」
「………うん」
「家庭教師が決まるまで待とうと思って」
あたしはさっきから相槌ばかりうってる
それなのに
ペラペラ話すカレ
「やっとメドがたって来たら ちょうど電話」
ずっと
いたわけじゃないんだ
「嬉しかった」
ほっと胸を撫で下ろすあたし
「じゃあまた明日」
「うん」
気づいたら家の前に戻っていた
「あのさ……」
「うん?」
「………また明日」
藤森 晴緋は何かを言いかけてやめた