シュガーズ

初めて

芽依ちゃんがあたしに対して笑顔を崩した


「………。」


結局

何も言わないままあたしたちの横を抜けて教室に入って行く





和哉君を見るとなんだか複雑な表情をしてる


………なに

あんたはどうしたいわけ?



申し訳ないとか思ってるなら別れなきゃよかったじゃん




やがて

決心したようにあたしに向き直った




「行こ」

「………うん」



なんか面倒なことになりそうだな


振り返るともう芽依ちゃんの姿はなかった


りっちゃんたちに余計なこと言わないといいけど……



とりあえず

和哉君のあとをついて行く



着いたのは


人通りが少ない中庭





「澪梨………」

「はい」



もう 雰囲気でわかる

ちっともドキドキしないけど




「俺と付き合って」

「………。」



真っ直ぐあたしを見る和哉君を前に

1番 都合のいい言葉を探す



「……ごめんなさい」



目に涙をためる

泣く準備は万端




「和哉君とは付き合えない」

「………なんで?」



少し声を荒げてあたしの肩を掴む



「だって……」



和哉君が声を詰まらせる
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