シュガーズ
「芽依ちゃんは?」
教室に戻ったのは午後の授業が始まる5分前
購買から戻ってきたりっちゃんと詩ちゃん
そこに芽依ちゃんの姿はない
「帰ったよ」
「………そっか」
相当 こたえてたんだろうね
やっぱり知らなかったのかな?
和哉君の好きな人があたしだってこと
「早く吹っ切ればいいのにね」
「男 紹介するのに」
「理央 彼氏いないじゃん」
ケラケラ笑いながら購買のパンを食べる2人
あたしは近くの椅子に腰を下ろした
どうやら
芽依ちゃんは余計なことを言ったりしなかったみたい
できっこないってわかってたけど一安心
「澪梨が紹介してあげなよ」
「え?」
「秦野 稚空とか」
「………。」
今 1番聞きたくない人の名前をりっちゃんが口にする
秦野君はまだ教室には戻っていなかった
『あんたと歩いてるとこ見られたくねーし』
って言ってた
あたしだって同じこと思ってるよ
気が合うね
ムカつくけど……
「澪梨?」
心配そうにあたしの顔を覗き込むりっちゃん
いけない
秦野君のこと考えるとムカつきすぎて素が出ちゃう