先輩と私。
「あら? 中等部の子? 可愛らしい~」
え…?
私は一瞬目を疑った。
遠藤先輩の背後から、ロングヘアで栗色の巻き髪、背も高くてスラッとしてる女の人が声をかけてきた。
いや、違う人に声をかけてるの?
でも確かに私たちの方を見てる。
よくよく見ると高等部の制服を着ている。
「どうも」
とにかく先輩後輩の上下関係を重んじるコトが大切らしい…。
とりあえず軽く会釈をして、挨拶した。
すると女の人は私のコトを気にしているのか、私の顔を覗き込んできた。
「何かついてますか…?」
すこし困惑気味な私の様子を見た先輩が、
「おいっ、やめろよ凪。 困ってるだろ?」
「あ、ごめんごめん!」
…?
今、先輩、この人のコト、“凪”って…。
名前?
「ごめんな桜。 コイツ俺の幼なじみの凪! ちょっと天然っぽいトコがあってさ」
「ごめんなさいね。 私は高橋凪(タカハシ ナギ)。 拓とは同じクラスなの」
お互いを、名前で呼びあってる。
そんな関係に、私はちょっとだけ、嫉妬した。
幼なじみだから、仕方ないのだけども…。