先輩と私。




教室に戻ると、


ミサが少しだけこっちをチラっと見てきた。


けど私の暗いオーラを察したのか話しかけては来なかった。


…迷惑かけたくないのに。



そんなわけで、私からミサに話しかける。


「せっかく職員室まで行ったのに、例の先輩に会って話すのに夢中でさ! ノート提出するのすっかり忘れてた!」


「…無理して笑わなくてもいいんだよ?」



ミサはやっぱり、何もかも私のすべてを見透かしてる…。



「桜から完璧“負のオーラ”ってヤツが出てるもん」


「そんなことないよっ! 私元気だし!」


「嘘つきっ。 教室に入ってきた瞬間の顔、なんとも言えなかったし!」


「えぇ! そんなにヒドかった?」



大きな声を出して、笑わないと…、


本当に涙が出そうだった。


恋をしてるんだって分かってすぐに、失恋…?


悲しくなっちゃいそうで、おかしくなっちゃいそうで、


ミサがいないと、笑えなくなっちゃいそうで…。



「ほんと、作り笑いは不幸を呼ぶよ?」


「…」



その言葉に、何も言えなくなった。


無理して笑おうとするのもやめて、私は黙り込む。



「いつでもいいから、落ち着いたら話して」



ミサはそう言って、私の肩をトンっと1回だけたたいてくれた。


…ありがとう。



私、失恋したんだきっと…。


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