先輩と私。
*
教室に戻ると、
ミサが少しだけこっちをチラっと見てきた。
けど私の暗いオーラを察したのか話しかけては来なかった。
…迷惑かけたくないのに。
そんなわけで、私からミサに話しかける。
「せっかく職員室まで行ったのに、例の先輩に会って話すのに夢中でさ! ノート提出するのすっかり忘れてた!」
「…無理して笑わなくてもいいんだよ?」
ミサはやっぱり、何もかも私のすべてを見透かしてる…。
「桜から完璧“負のオーラ”ってヤツが出てるもん」
「そんなことないよっ! 私元気だし!」
「嘘つきっ。 教室に入ってきた瞬間の顔、なんとも言えなかったし!」
「えぇ! そんなにヒドかった?」
大きな声を出して、笑わないと…、
本当に涙が出そうだった。
恋をしてるんだって分かってすぐに、失恋…?
悲しくなっちゃいそうで、おかしくなっちゃいそうで、
ミサがいないと、笑えなくなっちゃいそうで…。
「ほんと、作り笑いは不幸を呼ぶよ?」
「…」
その言葉に、何も言えなくなった。
無理して笑おうとするのもやめて、私は黙り込む。
「いつでもいいから、落ち着いたら話して」
ミサはそう言って、私の肩をトンっと1回だけたたいてくれた。
…ありがとう。
私、失恋したんだきっと…。