先輩と私。
*
次の日、提出しなかったノートをもう一度職員室に出しに行った。
先輩たちがいないかどうか、確認して。
正直会いたくなかった…。
なんかツラかった。
まだ知り合ったばっかりで、十分に話してもないのに、
失恋確定?
このショックは大きい。
ノートを出し終えて、私は教室に戻ろうとする。
「あっ、桜ちゃーん!!」
…やばい。
昨日聞いたばかりの高くてきれいな声で誰かが私を呼ぶ。
この人の顔見ると泣いちゃいそうなのに…!
振り向くと、そこには予想通り。
凪先輩だ。
「昨日は急にあんなことしてすみませんでした…」
「ううん、気にしないで♪ ところで私、桜ちゃんともっと仲良くなりたいの! 駅前で一緒にケーキ食べよ? ね!」
勢いに押されて、断れなくて。
凪先輩は良い人だ。
だから余計に…。
私は「はい」とだけ返事をした。