先輩と私。
◎ 嫉妬
*
「ココ1回来てみたかったんだぁ♪」
凪先輩と約束してから2週間後、
ようやくお互いの都合が合って、約束どおり駅前のケーキを食べに行くことになった。
小さな子供のようにはしゃぐ凪先輩の隣で、
私は思わず笑い出しそうになる。
先輩って感じがしない、同級生みたい…って。
「はいろはいろ!」
「はいっ」
私もケーキは好きだし、
1回凪先輩ともゆっくり話したかったし…。
丁度よかったのかな?
店に入るなり、凪先輩はすぐ目の前にあったテーブルにつく。
私も凪先輩と向き合う形で座った。
「私はモンブランと苺タルトとショートケーキ♪ 桜ちゃんは?」
「えっと…、私はとりあえず苺タルトで!」
店員さんを呼んで注文をする。
甘い良い香りのする店。
凪先輩に会う度に匂っていた香りは、ココの店の香りだったんだ…。
よっぽど好きなんだろうな、ココ。
「拓とはどこで知り合ったの?」
笑顔で質問してくる。
「裏庭ですっ。 いつもは私1人だったんですけど、たまたま会って…」
「そーなんだ! 珍しいなぁ、拓がお昼休みに外に出るなんて」
「そうなんですか?」
「いつもはお弁当持って来ないから、動く気力もないって教室でダランとしてる奴なの」
「凪先輩って、遠藤先輩のコトなんでも知ってるんですね…」
ついつい口に出てしまった。
凪先輩は唖然とした顔で「え?」と答える。
「あっ、イヤ、なんでもないです」
少し気まずい空気になると、
「おまたせしました~」
店員さんが来てケーキを運んできてくれた。