先輩と私。
◎ バイト
*
「おめでとう、桜!!」
「ぎゃっ、ミサ!? いきなり抱きついてこないでよっ、ビビるじゃん!」
なんていいながらも私はご機嫌真っ只中。
2つ年上の先輩、拓先輩と付き合い始めてから初めての登校♪
今日は拓先輩、裏庭に来てくれるのかな?
実はあれから緊張してたし、何か夢の中にいるのかな…っていう不思議な感覚で、
メールも電話もしてなかった。
教室の中は今日もクラスメイトが必死で勉強してる風景。
その中で私とミサだけが小声で喋っている。
「どっちから告ったの?」
「うーん…? アレは多分…、私から」
「そうなんだっ! いやー、いいな彼氏~…! しかも好きな人と付き合えるなんて、幸せじゃんっ」
「好きじゃない人と付き合ってる人なんかいるの?」
「世の中にはたっくさんいるでしょ…、多分。 そう考えると、桜は幸せものだね!」
「そうだね♪」
ミサにも、早くいい彼氏ができますように♪
「彼氏ができたからって、私との付き合いは怠らないでよね?」
「わかってますー!」
これからもミサのことは、頼りにしてるからねっ。
「あ、そうだそうだ。 今月のCRAZY見た?」
「まだ今月は見てない…。 どうかしたの?」
ミサが言う“CRAZY”っていうのは、
毎月発売されてるティーン向け雑誌のコト。
私の愛読書♪
「すんごい可愛い服あってさー♪ 欲しいけど高いんだよね!」
普段勉強ばっかしてる堅苦しい環境だけど、
こういう話題で盛り上がれるってコトは、
一応正常な女子中学生ってコトだよね!