先輩と私。
*
「じゃあとりあえず…。 遠藤君に指導係お願いしてもいいかな?」
「はい」
先輩に連れられて、私はカフェのスタッフ専用ルームの中にいた。
先輩が私の指導係♪
ラッキー!
知らない人に教えられるよりも、先輩のほうが頭に入りそうだしっ。
「じゃ、まずはレジ打ちからな」
「はーい」
ほかのバイトの子たちは皆店内へと戻っていった。
私と先輩はレジへ向かい、生まれてはじめてのレジ打ちをすることに。
「まぁ慣れればすぐできるようになるから!」
「はいっ」
「最初にここを押して、それから注文書を見ながらメニューのボタンを押すだけ」
「ほう…。 難しそう…」
「桜ならできるぞ? じゃあこの注文書みながら打ってみようか」
新入りのバイトの子専用に、練習用注文書と書かれたモノを手渡された。
こんなのあるんだぁ。
「えっと…、カプチーノ…」
必死でカプチーノのボタンを探す。
そしてようやく見つけたと思ったら、
「キャラメルマキアート…、クリーム付……」
またもや迷子。
その様子を見た先輩も「これは練習が必要だなあ?」と苦笑しながら言った。