先輩と私。
バイト初日、先輩が駅まで送ってくれた。
「すみません、わざわざ…」
「気にするな、女の子が1人であるいてるのは危ないだろ? それよりバイトはどうだった?」
「んー…、すごく疲れました。 あんな忙しい中で先輩はずっと笑顔…、尊敬します」
「そんなこと言うなよっ。 桜だって頑張ってたじゃん」
頑張ってたけど…、全然無理そうだった…。
こういう器用な作業生まれて始めてだったし、
次のバイトからは接客…。
ちゃんとうまくいくのかな?
「そういえば、何で急にバイトなんて言い始めたんだ? ほしいものがあるなら、家の手伝いでもしてお小遣いもらえばいいのに」
「そうはいきません…。 結構高額なモノで」
中学生の私にとっては、3万なんて大金。
それに、中学生ってコトを隠してバイトしてるから、
バイト先にこのことがバレたら学校にも連絡されて相当やばいかも。
…だけど、あのワンピースを買って、先輩にもっと好きになってもらいたい。
もはやワンピースがほしいんじゃなくて、先輩の私に対する「好き」の気持ちが欲しくなってた。
ワンピースなんて…。
ワンピースなんかじゃなくて、先輩の心が欲しい。