先輩と私。

「どうぞ」


私はお弁当を芝生の上に広げ、遠藤先輩にも入っていたフォークを差し出す。


本当はデザート用のフォークだけど、デザートは箸でも食べられるしっ。



「ありがとな」



そう言って笑顔でこっちを見てくる。


ちょっとだけ、キュンとした。




「遠藤先輩って…、いつもココにいませんよね?」


「うん。 今日はなんとなく来てみたかったからさー。 ちょっと来てみた」


「そうだったんですね」



運命…なのかな。


一瞬だけ顔がニヤけてしまった。



「山本さんは、いつも来てんの?」


「はいっ。 お昼ごはんはいつもココって決めてるんです♪」



次の瞬間、私の手に持っていたおにぎりに桜の花びらが。



「…」



私は顔が青ざめてるのが自分でも分かった。


自分の大嫌いな桜。


それが私が食べてたものの上に…。



「どしたの?」


遠藤先輩はそれを取ってくれたけど、なんとなく食べる気になれなくて、


私はおにぎりをタッパーのふたの上に置いた。



「桜の花びらぐらい大丈夫だ」


「…そ…うですね…」


「桜嫌い?」


「いや…、嫌いっていうか…」



いや、本当は嫌い。


だけど花が嫌いなんて、女子じゃないみたいで…。
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