美男子症候群!?
「言っただろ。聞きたいことがあるって」
「ああ。聞きたいことって、なに?」
「昨日のオトコ。誰、あれ」
昨日のオトコ?
それは、生徒玄関で会った、久木先生のことかな。
別に隠すことじゃないけど、なんとなく言いにくいのは、
たぶん拓海くんが妙にピリピリした空気を放ってるせい。
「やっぱ彼氏なのか」
「へ? そんな! まさか! あんな人類の宝と言っても過言じゃないくらい美しい人が、あたしの彼氏だなんてありえませんて!」
「じゃあなに」
「あー……あの人は、家庭教師の先生です。昨日は先生がたまたま近くに用事があったみたいで、一緒に家まで行っただけで」
「へー。家庭教師、か。……ところで野宮」
先を歩いていた拓海くんが急に立ち止まった。
慌ててあたしも、立ち止まる。