美男子症候群!?
「ちょっと拓海ぃ。野宮さん、忙しいって言ってるよ~」
「そ、そうですとてつもなく忙しいのでごめんなさい!」
誘っていただけて光栄ですがごめんなさい。
ミスター自らのお誘いを断るなんて、罰あたりでごめんなさい。
心の中で10回くらい土下座をしたんだけど、残念ながらミスターにはちっとも伝わらなかったみたい。
「へー。野宮は新しいクラスメイトとは仲良くしたくないんだ」
「へっ?」
「ヒマなのに一緒にいたくないくらい俺らが嫌いなんだ」
「ちょ、なに言って」
「カラオケにすら行きたくないほど俺らとは距離を置きたいわけだ」
「そ、そんなことはな……」
気づけば拓海くんとカラオケに行くらしいクラスメイトたちが、じーっとこちらを見つめていて。
とてもじゃないけど、断れる雰囲気じゃなくなっていた。
こっそり逃げようとしていた紗知子の腕を、ガシリとつかむ。
行かせないよ!