美男子症候群!?
「ハル……」
「え?」
呼ばれて振り返ると、すぐ後ろに紗知子が立っていた。
あれ、そういえばずっと紗知子がいたんだっけ。
黙りっぱなしだったから、存在を忘れてたよ。
「どうしたの紗知子。ずいぶん静かだったね?」
「ハル……お願い」
「お願い?」
「教えて」
「はい?」
「陸斗くんのアドレスをあたしに教えなさいよぉぉぉぉっ!」
紗知子が髪を振り乱してあたしの肩を揺さぶってきた。
目が血走ってますよ紗知子さん!
鼻息がごっつ激しいですよ紗知子さん!
そういえば、紗知子ってば年下のかわいい男のコが大好物なんだっけ。
どうやら陸斗くんが、よっぽど好みだったみたい。
「わ、わかったから、落ちつこう!」
あたしはどーどーと暴れ紗知子をなだめながら、校舎へと戻った。
でも教室には拓海くんの姿がなくて。
結局そのあと拓海くんは、戻ってくることはなかった。